観客席からの「豪栄道コール」に後押しされ、力強い相撲を見せた。もろ差し狙いで右は入らなかったが、反応良く体を開き左からのすくい投げで琴奨菊を転がした。今場所最初の大関戦に勝って「よかったです」と納得の表情を見せた。
先場所、先々場所は初日から4連勝の後に連敗して崩れた。今場所も同じ5日目に初黒星を喫したが、前日に琴欧洲を破り、連勝。「集中できている」と気持ちも乗ってきた。
13場所で1位の魁皇に次ぎ、昭和以降2位の12場所連続関脇を務める。関脇で2桁勝利を続けられず、大関昇進に足踏みが続いている現状に、本人は忸(じく)怩(じ)たる思いを募らせている。上位陣と互角に戦う力を持ちながら、下位への取りこぼしが課題ということも承知している。
「(来年の春場所は)大関で戻って来たい」。大言壮語するタイプではないが、今場所前にはっきりと目標を口にした。言葉に出すことで殻を破りたいという気概を出しているように見える。
毎年この季節、地元に戻って来たことを実感するのは「新大阪駅に着いたとき」。慣れ親しんだ関西弁、まちの雰囲気やにおいに触れ、集中力が高まるという。
「小さい頃から知っている人も多い。応援されると力になる」。ご当所場所で一歩でも大関の地位に近づきたい。(藤原翔)