新ムーブメントの予感だ。広島のドラフト1位・大瀬良大地投手(22)=九州共立大=が16日の巨人戦(東京ドーム)で8回2失点と好投し、5勝目(1敗)を挙げた。
「前回は高めを打たれた。今日は低め、低めという意識で投げた。ホームランは打たれたけれど2失点に抑えられた」
前回登板の8日・ヤクルト戦(神宮)では打線の援護で白星こそついたものの6回途中5失点。それだけにこの日は、巨人打線にテンポ良く112球を投げ込み、8回5安打4奪三振の好内容。
2本のソロによる2失点に抑えた右腕に、野村監督は「彼が投げるときは打線がよく点を取る。リズムの良さはあるだろう。大切にしてほしいね」と力投をたたえたが「本塁打は両方不用意でダメージの残る打たれ方。気を付けないといけない」と苦言も呈した。
5つの白星はチームトップ。動物のカピバラのような、ちょっとトボけた愛くるしいマスクながら、ストライクを取りにいく強気なスタイルでファンの喝采を集めているが、マウンドさばきも一風変わっている。投球動作に入る前に必ず行う“儀式”。両ひざを軽く折り曲げる屈伸運動だ。
広島ではエース前田がウォーミングアップの際に両肩をぐるぐる回す“マエケン体操”が人気だ。ルーキーのこの儀式も新しいムーブメントを生む気配がするが「力を抜くということと、重心を低くという意識付けのためです」と大瀬良。
右腕が心がけているのは、全力投球ではなく、適度に力を抜いた7、8割の力で投げる「脱力投法」。大学の卒業論文でも研究テーマに取り上げたほど、こだわりを持っている。この脱力のために毎回のマウンドでの屈伸は欠かせないわけだ。
ゴールデンルーキーの“カピバラ体操”は、赤ヘル旋風を加速させる一助になっている。 (片岡将)