「今年はやるんじゃないか」
広島OBが自信ありげにこう言った。20日から開幕する交流戦。セ首位を快走する広島はひとつの正念場を迎える。昨季は11勝13敗で借金2。10年に野村監督が就任以来、4年連続負け越しで通算は37勝52敗7分け。19日、ソフトバンクとの開幕戦を前に練習した野村監督は、「勢いを本物にしていくためにも交流戦は大事。初めて勝ち越せるように」と意欲を燃やした。「鬼門」の突破が今季の優勝争いを左右しそうだ。
■1stストライクを「好球必打」の効果
前田健ら先発陣、一岡らリリーフ陣が安定する投手力は武器となりそうだが、キーマンとなるのは18日の巨人戦で2本塁打6打点の大活躍をするなど、打率.356、15本塁打、47打点と絶好調の主砲・エルドレッドか。パ球団のスコアラーはこう警戒する。
「今年のエルドは、変化球の見極め、選球眼がアップした。昨年までなら速いストレートを見せておいて、ボール球になる変化球でバットを振らせることができたが、今年はバットが止まる。球種別の安打割合を見ると、スライダーを打った時は打率.432(37打数16安打)とハイアベレージを残している。コースを目掛けてしっかり投げないと、簡単には打ち取れないと思う」
実際、エルドは「相手がストライクゾーンで勝負する状況をつくりたい」と言う。野村監督から「タイミングをゆっくり取って、バットを内から出すように」とアドバイスされ、変化球に対してタメをつくれるようになり、ボール球に手を出さなくなった。加えて、右投手に打率.342、左投手は打率.388と満遍なく打っており、カウント別の成績を見ても、0-0、1-0では打率.639、8本塁打。ファーストストライクを「好球必打」している。
「そうなると、投手はストライクゾーン、もしくはボールゾーンのスレスレの際どいコースに投げざるを得ない。失投やボール球が増えるので打者有利になる。パの投手は、セの投手と比べてストライクゾーンで勝負する傾向があるといわれるだけに、エルドにとって交流戦は望むところです」(前出の広島OB)
昨季のエルドは交流戦9試合で打率.226、2本塁打にとどまったが、打者として一皮むけた今季は、大いに活躍が期待できる。