(セ・リーグ、阪神5-6DeNA、1回戦、DeNA1勝、8日、甲子園)藤浪、お前もか…。阪神は藤浪晋太郎投手(19)が七回、DeNAのトニ・ブランコ内野手(33)に満塁弾を浴びるなど、5-6で大逆転負けを喫した。待ちに待った甲子園開幕で8年ぶりの黒星-。投壊に歯止めをかけるはずだった若きエースで、痛恨の1敗を喫した。
うそ…。誰もが信じられない思いで、バックスリーンへ伸びる白球を見つめた。2014年、甲子園開幕戦を襲った悪夢のラッキーセブン。3万7183人を飲み込んだ聖地に悲鳴が響き、ブランコに満塁弾を浴びた藤浪は、マウンド上でぼう然と立ち尽くした。
「2アウトからだったんで、1人1人打ち取っていきたかった。かなり低めを狙ったつもりだったんですけど…。投げきれなかったのは、自分の弱さです」
自らを責めた。六回まで許した安打は2。尻上がりに調子を上げていたが…4-0と快勝ムードの七回に異変が起きた。
制球がままならない。大きく外れる球が目立った。二死は奪ったものの代打・金城に右翼線二塁打を許すと、石川に中前適時打。山崎に左前打。梶谷にも投球が荒れた。四球で二死満塁。そしてブランコへ初球、外角低めを狙ったカットボールが甘く入り、バックスクリーンまで運ばれた。
あとアウト1つからの5失点。七回の攻撃に合わせ、用意されていたジェット風船が、無情にも甲子園を舞った。
6回で83球。一発は109球目だった。7回2/3で6失点した前回1日の中日戦(京セラD)でも100球前後から抜け球が目立った。問題はスタミナ面か…。中西投手コーチは、「それは当然。(打者が)3巡目に回ってくるし、そういうところもあるだろう」と分析すると、「7回までは抑えてくれないと」と、厳しく言い放った。
「代え時が、はかれなかった。それ(球数)を乗り越えないと完投する投手にはなれない」とは和田監督。「尻上がりによくなったが、七回のどこかで…。ベンチの責任です」。そう話すと、今季最短1分16秒で、自ら会見を打ち切った。
継投のタイミングは確かに分岐点。だがエースとして期待するからこその続投だったはずだ。開幕9試合66失点の投壊。5日のヤクルト戦(神宮)で秋山が2回6失点、翌6日の同戦で榎田が1回2/3を3失点と先発が早々にKOされ、リリーフ陣にしわ寄せが来た。希望の光として3本柱の藤浪に先発としての「責任」を託したのだが…裏切られた形。チーム防御率7・01はいまだ、12球団ワーストだ。
昨年10勝14敗と大きく負け越したDeNAとの初戦。FA宣言して虎を去った久保に勝ち星まで献上する悔しい敗戦で、甲子園開幕戦の連勝も7でストップ。“聖地の申し子”が、沈んだ。
12日に20歳となる右腕は「すべてが反省点」と語気を強めた。10代最後の登板で味わった屈辱は勝利でしか晴らせない。次は15日の広島戦(マツダ)。もう2年目。結果だけが求められる。