「男は黙って勝負する」。かつてこんなフレーズがはやった。口より、まず頭と手足を動かせ-というわけだが、DeNAの中村はどうも黙って勝負できないようだ。
先週の巨人戦で塁上の走者を走らせず、打撃に集中させてほしい旨を首脳陣に要求。盗塁を含めた作戦面でのベンチワークにクレームをつけられた中畑監督が、激怒するのも無理はない。「チーム方針に従わない言動があった」と、即刻2軍降格を言い渡した。
これに対し、中村は自身のフェイスブックで「自分としてはどうモチベーションを保つべきか苦悩しています。勝つために1軍のフィールドに僕は必要ないのだろうか」と反論。
しかも、チームの試合中に投稿したことから中畑監督の怒りがエスカレート。「モチベーションがないと言っている選手を使うわけにいかない」と、戦力外ともとれる厳しい姿勢をみせた。
今回が初めてではない。2年前も、自身の打席中に盗塁を決めた後輩選手をベンチで叱責。これが采配批判と判断され、2軍落ちを命じられたにもかかわらず、である。
球界には数々の舌禍騒動がある。阪神では江本の「ベンチがアホやから野球ができへん」が有名。低迷が続いた村山監督時代にも、ある主力選手がミーティングの席で指揮官を前に「監督! 勝てる野球をやってください」と前代未聞の“公開批判”したことがあるが、いずれもチームの勝利を願う思いが舌禍につながった。
さて、個人プレーを優先するあまり、首脳陣との関係が決定的となった中村。まさに口は災いのもととなりそうだ。(運動部・西井禎一)