相撲の神様をまつる東京都墨田区の野見宿禰(のみのすくね)神社で行われた土俵入りで、最後の所作を間違えた鶴竜は「駄目ですね」と首をひねった。それでも歴代の横綱のしこ名が彫られた石碑に自らも加わり、「非常に光栄。自分というものをつくり上げていきたい」と感慨に浸る。いよいよ横綱として臨む初めての本場所が迫ってきた。
常に優勝争いに絡むことが使命だが、先人は新横綱場所で苦しんできた。平成以降に昇進した9人のうち優勝したのは貴乃花のみ。日馬富士は5連敗するなど9勝止まりで批判を浴びた。
連覇を目指す鶴竜が繰り返し強調するのは「力まずに自分らしく」。場所前から多くの行事に追われる中で、いかに平常心を保ち、普段通りの調整ができたかが問われる。持ち前の低い立ち合いから右前まわしをとる速攻で白星を積み重ねられれば勢いづくだろう。
2日目までの対戦相手を知らされても表情は変えない。「どんな相手でも自分の相撲をとれるように集中してやりたい」と言い切った。(藤原翔)