
【馬じぃの継続は非力なり】相撲大好き人間なので、日曜からの大阪の春場所、待ってました、だ。好きなわけは簡単、勝ち負けがわかりやすく、試合時間が短い。さらに、取り組むまでの「間」がいい。土俵入り、柏手、四股などの所作も。先日まで付き合ったソチ五輪など、ルールが複雑なものや、アイスホッケーのような目まぐるしい競技には、じじぃはついていけません。
ただ、大相撲で、近ごろ気に入らないことが一つ、「張り手」の横行だ。栃若から若貴時代、そして現在まで見続けているが、激しい正面からの突っ張りはともかく、横っ面をビンタで叩くという、相手に敬意を払わない張り手は以前ほとんど見られなかった。それが今や、大横綱の白鵬まで常用しているのが情けない。禁じ手ではないが、美意識の問題かもしれない。
この春場所の目玉は鶴竜の綱取りと、超スピード出世の遠藤の三役挑戦だが、2人とも馬じぃが大のひいきにしているのは、この張り手をほとんど目にしないこともある。先週、遠藤が出稽古で鶴竜の胸を借りたが、両力士ともこれからもぜひ、張り手は封印してほしい。
これ、競馬ならさしずめムチの乱用か。馬は言葉が通じないから、相撲と混同はできないが、それでも、ムチを嫌がって抵抗する馬もいるという。
昭和33年のダービー馬ダイゴホマレの伊藤竹男騎手は、直線で激しい競り合いになったとき、先輩の蛯名武五郎騎手から以前、「叩くより押せ。叩いて騎手がフォームを崩したら馬が走りにくい」と言われたことを思いだし、ムチを封印して押しまくり鼻差で勝った。相手のカツラシユウホウの騎手が当の蛯名だったのは皮肉だが、相撲の張り手も相手に付け入る隙を与える死角があることに共通点がありそうだ。
さて、競馬に集中して、本紙予想陣は土曜日の「夕刊フジ賞オーシャンS」にまず気合が入るだろうが、日曜メーンの弥生賞も抜かりなく。もっともこちらは、(10)トゥザワールドという、クラシック戦線で主役を張れる器もいて堅そう。当方も本命に異議なしだが、願わくば直線ムチなど使わず、きれいに勝ってほしい。
■品川達夫(しながわ・たつお) 昭和44(1969)年、夕刊フジ創刊と同時に競馬欄を手掛け、デスク兼記者・予想家として約20年間紙面を汚す。その後、別のジャンルで新聞記者を務めながら競馬は続け、気がつけば「馬じぃ」に。