「スタミナねえな」。16日の広島戦(QVCマリン)終了後、報道陣に囲まれていたロッテのドラフト1位ルーキー石川歩投手(25)=東京ガス=をそうくさしたのは、伊東監督だった。
先発した石川は5回までは1安打2四死球に抑え、自らの暴投による1失点のみの好投。ネット裏で偵察した日本ハム・島崎スコアラーは「左打者に対して内角を制球よく突くストレートと、外角に逃げていくシンカーがいい。右投手ですが、特に左打者にとって攻略が難しいかも」と警戒した。
ところが、6回に入ると突然制球が甘くなり、松山の2ランを含む3長短打を許した。伊東監督は「6回はフラフラで、本人も『バテました』といっていた。先発投手はあそこから先を頑張らないといけない」と物足りなさそうだった。
しかし、石川は富山・滑川高、中部大時代は注目されなかったが、着実に実力を蓄え、東京ガス3年目の昨年、都市対抗などで活躍。ロッテと巨人の1位指名が重複するまでになった。日本球界を飛び出してヤンキースへ移籍した田中将大らと同じ1988年生まれのオールドルーキー。普通の新人とは肝の据わり方が違う。
味方の5回の攻撃が打者10人、一挙5得点の猛攻だったことから「長く待っていて、ちょっと体が固まってしまった。4回にできた中指のマメも気になった」と説明。「(打たれた要因は)体力のなさでしょうが、もっと楽に投げられる投球フォームがあると思う。それを探していければ大丈夫。自分本来のストレートは投げられたのでよかった」と冷静そのもので、修正能力に自信たっぷりなのだ。
結局、この日も6回4安打3失点(自責2)でいわゆるクオリティースタートは果たした。開幕ローテ入りも揺るがないが、次回登板で辛口の指揮官を納得させられるか。 (宮脇広久)