「彼の一番の長所はアタマだよ、アタマ」
こう言うのは某球団のスコアラーだ。
19日のDeNA戦で楽天の松井裕樹(18=桐光学園)がオープン戦4試合目となる先発。初回は3者連続三振に打ち取ったものの、二回に走者を出してから投球が不安定になり3安打を浴び2失点。オープン戦最後の登板を、4回4安打1四球2失点、5三振で終えた。
初回には人生最速となる150キロを出したものの、高校時代に慣れ親しんだ横浜スタジアムだけに松井は「単純に(スピードガンが)緩いだけ」と一蹴。「真っすぐやボール自体の調子はいい。制球やボールの組み合わせ、先頭打者をしっかり切ることが大事になる。失点? 悔しいけど、いいふうに取るしかないですね」と話した。松井の投球をネット裏から見た冒頭のスコアラーが言う。
「オープン戦で13イニング連続無失点は相手が様子見をしていたからではないね。松井は一球一球、計算しながらボールを使い分けている。この右打者にスライダーはこうだったからチェンジアップだとどんな反応なのか、とか考えながらね。それを2月のプロ入り初実戦の巨人戦からやってたんだから大したもの。今日も打たれたけど、締めるところはきっちり締めていた。開幕ローテどころか、カードの頭を投げられる投手だよ。警戒? 当たり前だろ!」
高校時代は常に全力投球。「抜くところを抜かないとプロでは通用しない。アタマの問題」と言われていたのも、すでに過去の話。佐藤投手コーチも「前回(13日のオリックス戦)は登板直前に2日続けてブルペン入り。今回は一昨日しかブルペンに入ってない。本人がいろいろと調整を試したいと言っていた」と話すように、アタマをフル回転させている。
もはやライバル球団にとっても、松井は「高卒ルーキー」ではなく「警戒すべき左腕」だ。