(セ・リーグ、DeNA-ヤクルト、3回戦、DeNA1勝1敗、11日、横浜)開幕10試合を終えて3勝7敗。昨季最下位からの反転攻勢を誓ったはずのヤクルトは、シーズン序盤から苦しい戦いを強いられている。低迷ぶりを象徴する数字が、チーム防御率。6・62はもちろん12球団ワーストで、小川監督も「これだけ打たれたら…」とあきれ気味。投手陣の不振が、浮上できないチームの現状につながっている。
そんな中、ただ一人安定した投球を見せているのが小川。2度の先発機会で失点はわずかに3。自身2連勝中もうなずける好投を見せてきた。自らの投球だけでなく「野手が攻撃しやすい試合を作ることも大事」と全体を見据えるあたり、エースの貫禄も十分。4連敗中のチームを救えるのは、右腕しかなかった。
この日は思わぬ落とし穴もあった。四回に本塁打で1点を失い、五回に2死一、三塁とされると、禁止されている三塁への偽投を行い、ボークをとられて三塁走者を本塁に生還させてしまった。常に冷静な右腕には珍しいミスで、失点を重ねた。
しかし、それでも大きく崩れないのがエースの真骨頂。続く荒波を落ちるボールで空振り三振に仕留めてピンチを切り抜けた。打線も五回までに、バレンティンの2試合連続弾などで5得点と大量援護。チームは苦しい投手事情が続くだけに、右腕にかかる期待は大きい。(小川寛太)