
ソチ五輪で日本に3つのメダルをもたらしたスノーボードが、人気復活の兆しを見せている。ハーフパイプ男子銅メダルの平岡卓(18)=奈良県御所市=も帰国後の記者会見で「スノーボードが広まったと思うので、それが一番うれしい」と語った。一時期のブームに比べると、最近は衰退気味だったが、スキー場の来場者増加や関連用品の売れ行き増など活気が戻りつつある。
■スクール殺到 グッズ売り上げ増
神戸市灘区の「六甲山スノーパーク」。市街地近くで、スキーや雪遊びができる人工スキー場に、2月中旬以降、スノーボードの問い合わせが殺到している。
「五輪を見てやりたくなった」「子供にやらせたい」との声がほとんどで、今季のスクールの申し込みは2月末までで995件と、昨年同時期(770件)より約3割増えた。担当者は「インストラクターの数が間に合わない」と、うれしい悲鳴を上げる。
平岡らが練習に通った岐阜県郡上市の「高鷲(たかす)スノーパーク」も、ハーフパイプ男子の競技を境に来場者が増加した。副支配人の清水道浩さんは「昨季より1割は伸びている」と明かす。
同パークには日本最大級のハーフパイプコースがあり、「ハーフパイプの聖地」と呼ばれる。2月15日から週末に選手による無料講習を始めたところ、小学生から大人まで約100人の参加があり、清水さんは「今までにはなかったことだ」と予想以上の“五輪効果”に驚いた。
ボードやウエアなどの関連用品の販売も好調だ。
通常、1月上旬をピークに売れ行きは鈍っていくが、販売大手のアルペン(名古屋市)では、全国の店舗でスノーボード用品の2月の売り上げが昨年を上回っているという。同社の上野征之経営企画部長は「大雪の影響もあるが、五輪効果も間違いなくある」と話す。
実はスノーボード業界はここ数年、厳しい状況が続いていた。日本生産性本部(東京)が発行する「レジャー白書」によると、平成24年の推計参加人口は230万人で、17年の520万人から半分以下に減少した。
同志社大スポーツ健康科学部の二宮浩彰教授(スポーツマーケティング)は「参加人口の中心である若者がレジャー離れしているのが原因だ」と説明する。
スキーやスノーボードなどのスノースポーツは時間と費用がかかり不況の影響を受けやすく、バブル期以降は市場が縮小していた。愛好家の世代が広いスキーは、親が子供を連れてゲレンデに戻る流れもあったが、若者中心のスノーボードは減少傾向に歯止めが掛からなかった。
二宮教授は「スノーボードは五輪で若者や子供の心をつかみ、認知度を一気に高めた」と指摘。「五輪での『かっこいい』イメージを高めつつ、スノーボーダーに優しいゲレンデ環境の整備を進めれば、スノーボードがスノースポーツ全体を盛り上げるきっかけになる」と期待を寄せていた。