このままじゃアブハチ取らず、投手と野手の二刀流どころか、どっちつかずの中途半端になってしまうのではないか。そんな気もしてくる。
3日のソフトバンク戦で今季初登板を果たした日本ハムの大谷翔平(19)。不安定な立ち上がりで初回に2点を失うも、二回は3者凡退。持ち直したと思った矢先の三回、4番李にストレートの四球を与えると、自らベンチ裏へ引っ込んだ。
球場がどよめく中、再びマウンドに上がってこの回を抑えたものの、四回から中継ぎの谷元にマウンドを譲った。
これには記者席も騒然。すぐに球団から「投球時に右ふくらはぎがつったため、大事を取って四回から交代いたしました。現在はベンチ裏でアイシングを施しています」との広報メールが送られたことで、報道陣はひとまず胸をなで下ろした。
球団トレーナーによれば、この日は試合前から鼻水が出るなど体調が万全ではなかったとか。風邪気味で体力が落ちていたという話もある。
■栗山監督も確認
しかし、ある日ハムOBは「なぜ体調が万全ではなかったのか。体力が落ちていたのかが問題でしょう」とこう言う。
「自己管理がなってなかったといわれればそれまでだけど、体調不良になった原因は、開幕カードでの酷使がたたったと言う人がいるのです」
大谷は本来、開幕2戦目に登板予定だった。しかし、オープン戦で24打数8安打1本塁打6打点と活躍すると、栗山監督が「色気」を出した。
大谷の登板日を開幕6戦目の3日にずらし、開幕3連戦は野手起用。3試合目こそ守備の負担のないDHだったものの、1、2戦は右翼手としてフル出場。しかも開幕戦は延長十二回の長丁場。野手としてフルに使い切った上で、6戦目の先発に備えることになったのだから、体力、精神ともにヘロヘロになったとしても不思議ではない。
投手としても野手としてもどっちつかずだった昨季と異なり、今季の大谷は「投手優先」の方針が球団内部で確認されていた。
キャンプは1日置きにブルペンに入り、投手の調整に専念。打者としての練習を3日しかしなかったのもそのためだ。
■シーズン終盤はローテの軸
前出のOBは「それは栗山監督もわかっていたはずなんですが…」と続ける。
「なにせ日ハムの本格派右腕は大谷ただ1人ですからね。左腕の速球派は吉川がいるけど、去年15敗(7勝)したようにまだ計算は立たない。大谷は中6日できちんと回すどころか、シーズン後半にはローテの軸になってもらうというのが当初の青写真なのです。フロントと首脳陣の間でその方針は確認しています。昨季のような2週間に1度、あるいは10日に1度の先発起用では他の先発にもシワ寄せがいくし、大谷が軸にならなければ長いペナントレースを乗り切れないと考えている。ところが、栗山監督はいまだに打者大谷に固執しているのか、ここにきて中6日の起用も怪しくなっています」
指揮官はこの日の試合前、「大谷はとにかく投手優先。いよいよという時には野手で使うかもしれないけど」と話したとはいえ、担当記者のひとりは「実は中6日どころか、次回登板すら未定です。いつ投げるかわからないので、当面はまた右翼での出場が続くのではないか」と言う。栗山監督は「投手優先」と言いながら、開幕3試合で14打数5安打2打点と活躍した打撃を可能な限り生かしたいと考えているのは明らかだ。
チームにとって最も大切なのが投手力なのは言わずもがな。そしてフロントも現場も、最終的に大谷をローテの軸にしなければ優勝争いの展望は開けないと考えている。大谷が打者として多少打って点が入ったところで、これでは結果としてザルで水をすくう事態になりかねない。だったらなおさら、大谷はいますぐ「投手中心」で使うべき。先発ローテの合間の代打だって、立派な二刀流だ。まずは大谷からバットを取り上げない限り、大谷もチームも昨季同様、不甲斐ない成績で終わってしまう。