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東京二期会オペラ「蝶々夫人」 日本の伝統美あふれる舞台にイタリアの新鋭が登場 - news15

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2025.08.17|コメント(-)トラックバック(-)

東京二期会オペラ「蝶々夫人」 日本の伝統美あふれる舞台にイタリアの新鋭が登場


 オペラの代名詞ともいえるプッチーニ「蝶々夫人」を声楽家団体の東京二期会が23日から東京文化会館(東京都台東区)で上演する。世界が注目するイタリアの俊英指揮者、ダニエーレ・ルスティオーニ(31)が日本のオペラ公演に初登場し、88歳の現在も第一線で活躍する重鎮の演出家、栗山昌良が透徹した和の心と伝統的な美意識を貫いて作り上げたステージに、壮麗な音楽を響かせ、濃密なドラマをつづる。

 プッチーニはベルディに並ぶイタリア・オペラの大作曲家で「ラ・ボエーム」「トスカ」などの傑作を次々に発表し、創作の絶頂期にあった1904(明治37)年に「蝶々夫人」が初演された。日清戦争前後の1890年代ともいわれる長崎を舞台に、士族の娘で15歳の蝶々さんが米海軍士官のピンカートンと結ばれ、再会を願って3年の歳月を待ちわびながらも絶望し、最愛の息子を残して自刃する悲劇だ。

 ピンカートンへの純真な愛を歌いあげるアリア「ある晴れた日に」の切なくも美しい旋律は広く知られるが、プッチーニは日本の文化や習俗の研究に努めながら作曲し、「君が代」「さくらさくら」「お江戸日本橋」など耳になじみの旋律が全編にちりばめられている。

 栗山が平成2年から練り上げてきた舞台は、異国情緒も豊かなプッチーニの音楽に折り目正しい演出を施し、日本の伝統的な精神を昇華させて感動を深くする。花嫁行列で蝶々さんが登場する冒頭から美しさが際立ち、ピンカートンの再来に胸をときめかせて夜を明かす「ハミングコーラス」の幻想的なシーンは、その後に訪れる悲しみの幕切れと鮮やかな対比をなす。

 「プッチーニは最も深い情熱を持った作曲家です。貴族のような高潔な心で、明快で端正な表現をすることが重要です」とルスティオーニはその音楽の特徴を語り「着物の着こなし一つから気高い精神性をたたえた舞台づくりに深い感銘を受けます」と強い共感を示す。

 1983年にイタリアの楽都、ミラノで生まれたルスティオーニは、20代の若さでロンドンのロイヤルオペラ、ミラノ・スカラ座など世界最高峰の歌劇場にデビューし、耳の肥えた聴衆から圧倒的な支持を集める。「10歳のときに偉大なマエストロ、リッカルド・ムーティが指揮するのをスカラ座で聴き、音楽こそ私の仕事だと思いました」と自身の出発点を振り返る。

 「蝶々夫人」については「プッチーニの作品の中でも最も内面的でプライベートな要素を備えています。オーケストラの扱いは洗練され、登場人物の一人一人に与えられた特徴も完成されています。私たちイタリア人にとって、ほかのオペラでは触れることのできない異国の文化を感じ、これを日本で指揮できることに特別の感情を抱いています」と思いを寄せる。

 腰越満美、木下美穂子の蝶々夫人をはじめ出演する歌手も日本を代表する実力者がそろい、東京都交響楽団も充実の響きを奏でてイタリアの新星にさらに強い刺激を与える。

 「蝶々さんには精神的な弱さと強さが同居していますが、プッチーニの思い描いた繊細で壊れやすいイメージを巧みに表現するなど、日本の歌手は演技も完ぺきで信頼して音楽に集中することができます。オーケストラも万全の準備がなされ、非常に高い機能性と表現力を備えています」と目を輝かせる。

 公演は23、24、26、27日。「二期会名作オペラ祭」とのタイトルもつけられ、最高のS席でも1万円と入場料は低廉に抑えられている。

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2014.04.22|コメント(-)トラックバック(-)
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