「手術から11カ月で実戦復帰するのは本人の努力のたまものだが……」
トミー・ジョン手術(靭帯再建術)からの早期復帰を目指す中日の吉見一起(29)について、関係者からこんな声が出ている。
吉見は昨年6月に同手術を行った。5月1日の二軍戦から登板を重ね、5月下旬の一軍復帰を目指すという。冒頭の関係者が言う。
「トミー・ジョン手術は選手によって復帰時期が違うが、一般的に6~7カ月で投球再開、実戦復帰に1年~1年半はかかるといわれる。ただ復帰後もしばらくは球数制限が必要で、本格復帰まで2年かかるケースもある。吉見はリハビリが順調にいっているからこその早期復帰なんだろうが、チームの先発投手はコマ不足。二軍の山内、岩田らもなかなか調子が上がらない。チームも4位と波に乗れない。吉見にかかる期待が大きいだけに、復帰を焦らなければいいけどね」
今月、通算3度目のトミー・ジョン手術を行ったヤクルトの館山の例もある。昨年4月に2度目の手術を行い、今年開幕での復帰を目指してきたが再び故障した。
館山は「キャンプで90%の状態まで回復した。残り10%回復すれば、というところで二軍戦で投げたものの、2イニング目に入ると思う投球ができなかった」と言う。
3月に二軍戦で2試合続けて1イニングを投げた。しかし、4月の二軍戦で1球で緊急降板した。先発復帰に向けてリハビリのペースを速めたことが、再手術につながったとの見方もある。
むろん、吉見と館山とでは手術の形態が違うだろうし、同列に並べることはできないが、ともにチームの「エース」で、投手不足というチーム事情もそっくり。関係者の杞憂(きゆう)に終わればいいのだが。