12日の試合で原辰徳監督(55)は「センターのポジションにだらしない人間が多すぎる」と2打席連続三振の橋本到(23)をベンチに引っ込め、内野手の藤村大介(24)を中堅でぶっつけ起用するという“劇薬”を投入した。インフルエンザもあって二軍落ちした大田泰示(23)を含め、なかなか台頭しない若手外野手にカツを入れている。
対照的に外野陣を支える男は元気だ。長野久義(29)のオープン戦打率は、全体3位の.441。原監督が「打ち出の小槌」と評したバットコントロールで安打を量産し、「3番」を確保して、村田、阿部とクリーンアップを形成している。好調の理由は「いつもより体の調子がいいから」。なぜ体調がいいのか。「実は節酒しているんです」と言う長野はもともと、ビール党で食事に出掛ければ中ジョッキをグビグビ飲み続ける酒豪。10杯なんて水も同然だが、それを数杯我慢するのだという。
「節酒もそうですが、ビールはご飯と一緒。飲んだら米は食べないようにしています」
それを節酒というのかビミョーだが、そんな独自のルールを守り、例年は飲み過ぎで体重が増えていたところ、今年は83キロをキープ。体にキレが出ているのだ。
昨季までは外国人選手のようにホームベースから遠く離れて構えていた。これを半足分ベースに近づけたため、外角の見極めができるようになったと首脳陣は指摘する。本人は「いやいや、何も変えてませんよ~」と軽く否定したものの、大きく空けていた内角に苦手意識がなくなったことも、好調の一因とみられる。
昨季、プロ4年間で最も低い打率.281に終わった。「すごく悔しいシーズンだった」と危機感を持ち、三度のメシより大好きなビールを控え気味にしたことで、原監督が「だらしない」と怒り心頭だった若手外野手に、モノの違いを見せている。