2日のロッテ戦で通算78人目、球団としては96年の渡辺前監督以来となるノーヒットノーランを達成した西武の岸。九回に勝ち越して勝利した9日のソフトバンク戦では7回4失点で勝ち負けがつかなかった。
そんな岸の投球を複雑な思いで見守っているのが、球団の編成担当ではないか。12年オフに海を渡った中島(現アスレチックス傘下2A)の今後は、岸の活躍次第といっても過言ではないからだ。
昨季の中島は守備難と左太もものケガの影響で3A暮らし。今季は4月末に2Aに降格した。もはやメジャー昇格は絶望的。「オフにも帰国するのではないか」ともっぱらだ。
■二兎は追えない
西武時代は球界でも一、二を争う人気を誇った遊撃手。球団としては再びこの人気が欲しい。なにせ、今季は主催17試合の平均観客動員数が1万9000人強。昨季の1試合平均より約3000人減なのだから、球団の営業担当は真っ青になっている。
中島の後釜とされていた金子、永江が思ったほど成長していないことも、中島を復帰させたい理由のひとつだろう。
唯一、問題があるとすればカネだ。メジャー移籍前年度の12年は2億8000万円の高給取りだった。メジャーで通用しなかったとはいっても、条件をケチれば他球団に横取りされる。
そんな「中島復帰プラン」も、岸が活躍すればパーになる。岸は今季年俸2億円とはいえ、昨オフに年俸変動制の3年12億円の大型契約を結んだばかり。好成績を残して「満額支給」となれば、中島の獲得資金が消えてしまう。岸には頑張って欲しいし、中島にも戻ってきてもらいたい……編成担当の悩みはシーズンが終わるまで尽きない。