同じ勝利でも疲労感たっぷりの前夜とは対照的に、球場を引き揚げる原監督の足取りは軽やかだった。「うん、兆しは見えてきたと思いますよ」。理想的な先行逃げ切りに、手応えを感じたのだろう。
クリーンアップがそろって役割を果たした。「先制のチャンスをものにできてよかった」と話したのは3番アンダーソン。一回1死二塁できれいに中前にはじき返し、開始3分で先制に成功した。
四、五回には前夜今季1、2号を放った5番の阿部が、この日も2打席連続で右翼席にたたき込んだ。「何となくらしさが出てきた」とうなずく指揮官に「少しだけボールをとらえられるようになってきたかな」と阿部。チームの主砲がいよいよ覚醒した。
そして九回。4番村田の左中間への適時二塁打で2点差。前夜は八、九回にチャンスで凡退していただけに、不安定な救援陣を助けるダメ押し点を生み「必死でした」と胸をなでおろした。
クリーンアップ全員が打点を挙げたのは、4連敗前の広島戦(9日、東京ドーム)以来。打つべき人が打てば勝利は近づく。阪神が敗れ4試合ぶりに2位に浮上した。勝ち方にも「らしさ」が戻ってくれば、首位奪回も難しいことではない。(森本利優)