苦虫を噛み潰す顔も、不甲斐ない投手陣を責め立てる姿も、もう見飽きた。1-7で敗れた16日の中日戦。DeNAの中畑監督は、4回6失点と崩れた先発の尚成に対し、「持ちこたえられないね」と言葉を吐き出すのがやっとだった。
これで3連敗。負け越しは5カード連続に伸びた。今季もボロボロの投手陣は、ここ8試合でなんと47失点。いくら打線に爆発力があったところで、これではどうにもならない。昨年とまったく同じである。
「明日は切り札に頼りたい」
そう絞り出した中畑監督は、17日に先発する開幕投手の三嶋に期待するのだが、その三嶋は今季2試合に登板して0勝1敗、防御率は15.75。選手もファンも「切り札」と思えないのが悲しい。
試練と呼ぶには厳しすぎる試練だ。楽天のドラフト1位・松井裕樹投手(18)=桐光学園高=が16日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)でプロ入り初勝利を懸けて3度目の先発に臨むが、クリーンアップ全員が4割超えの強力打線が待ち構えている。
前回登板の9日・日本ハム戦では札幌ドームの硬いマウンドが合わず、4回途中3安打&5四球と自滅。「相手打線よりもまずは自分のやってきたことをしっかり出したい。球数が少ない方がいいし、ストライクを先行させたいです」と落ち着いた表情で話したが、結果次第では2軍降格の可能性が高い正念場だ。
4連勝と波に乗るソフトバンク打線の中軸は強力だ。15日の同カード、3番・内川は5打数2安打で打率・424。4番・李大浩は4安打でジャスト・400の大台。5番・長谷川は3四球1犠飛で・423。出塁率は驚異の・500だ。
楽天関係者は「3人ともちょっとシャレにならない。どうやったらアウトになってくれるか…。打つ手? ないよ」と頭を抱える。「とにかくストライクゾーンで勝負することが第一。カウントを苦しくすると見透かしたように甘い球を狙い打たれて長打になる。見逃してくれないんだよ…」と苦い顔だ。
この日の先発・美馬は5回途中7安打4四球で3失点。星野監督は「制球がアバウト。それに尽きる。よく3点で済んだよ」とバッサリ。美馬は「自分では良いところに行ったつもりだったのがみんなヒットにされて、狙いすぎた球がボール、ボールに…」。好調な相手に厳しく攻めようとして悪循環にはまった。4年目の美馬ですらペースをつかめなかった強力打線に、新人左腕は挑まねばならない。
この1週間はシャドーピッチングやブルペン投球で体重移動を確認。14日のブルペンでは、佐藤投手コーチが付きっきりで下半身主導の体重移動ができるようにチェック。“三振か四球か”というスタイルから打たせて取る投球へスイッチするつもりだが、突貫工事が最強クリーンアップに奏功するか。 (片岡将)